どう生きたいか。のヒントが見つかる

  1. トップ
  2. コーチングとティーチングの違いは?使い分けの基準と実践のポイント
コーチング

コーチングとティーチングの違いは?使い分けの基準と実践のポイント

ポストする シェアする LINEで送る noteに書く
コーチングとティーチングの違いは?使い分けの基準と実践のポイント

部下に教えすぎて、自分で考えなくなってしまった。かといって質問を重ねても、答えが返ってこない。コーチングとティーチングをどう使い分ければよいのか、迷っている方は多いはずです。

結論から言うと、2つの違いは、答えを誰が持っているかです。ティーチングは、指導者が知識や手順を伝える関わり方で、コーチングは、質問によって本人の考えを引き出す関わり方です。使い分けは、相手の経験、緊急性、答えが決まっているか、時間と人数の4つの問いで決められます。

この記事では、2つの違い、メリットとデメリット、使い分けの基準、それぞれが有効なケース、面談の中での切り替え方、よくある失敗と直し方、調査で見る部下の育成まで解説します。

目次
  1. コーチングとティーチングの違い
  2. コーチング・ティーチングのメリット
  3. コーチング・ティーチングのデメリット
  4. 使い分けの基準
  5. ティーチングが有効なケース
  6. コーチングが有効なケース
  7. 使い分けを身につける方法
  8. コーチングを体系的に学ぶ
  9. 経験が浅い人との面談のポイント
  10. 経験がある人との面談のポイント
  11. 教えると問うを切り替えるポイント
  12. よくある失敗と直し方
  13. コーチング・ティーチングに関するよくある質問
  14. まとめ|使い分けは、相手と場面で決める
  15. ポジウィルコーチングスクールの個別説明会

コーチングとティーチングの違い

コーチングとティーチングは、どちらも人を育てる関わり方ですが、答えを持っている人が異なります。ティーチングでは指導者が、コーチングでは本人が、答えの出発点です。まず、違いを表で整理し、そのあとで、それぞれの内容を見ていきます。

項目

ティーチング

コーチング

答えを持つ人

指導者

本人

関わり方

知識や手順を伝える、実演する、確認する

質問と傾聴で、考えを引き出す

目的

知識や技術を、早く身につけてもらう

自分で考え、行動する力を育てる

向く相手

経験や知識が少ない人

一定の経験がある人

向く場面

緊急時、手順やルールの共有

正解が1つでない課題、中長期の成長

注意点

教えすぎると、受け身になりやすい

経験が乏しい相手には、機能しにくい

ティーチングは、答えを持つ人が知識や手順を教える関わり方

ティーチングは、指導者が持っている知識、手順、判断の基準を、相手に伝える関わり方です。

業務の手順を説明する、やり方を実演して見せる、できているかを確認する、といった場面で使います。答えが指導者の側にあるため、相手は短い時間で、同じ水準の知識を身につけやすくなります。

教えるときは、手順だけでなく、その手順にする理由も伝えましょう。たとえば、報告の手順を教える場合は、「なぜこのタイミングで報告するのか」まで説明します。

理由が分かれば、決まりにない場面でも、相手が自分で判断しやすくなります。また、一度に教える量を絞ると、相手が整理しやすく、あとから確認もしやすくなるでしょう。

コーチングは、本人の中にある答えを質問で引き出す関わり方

コーチングは、質問と傾聴によって、本人の考えを引き出し、次の行動を本人が決められるよう支える関わり方です。

答えは本人の中にあると考え、指導者は、答えを示すのではなく、考えを整理するための質問を重ねます。「どうなればうまくいったと言えるか」「最初の一歩は何か」といった問いが代表的です。

自分で考えて決めたことは、実行に移しやすく、うまくいかなかったときも、原因を自分で振り返りやすくなります。

ただし、本人に判断の材料がなければ、質問をしても答えは出ません。そのため、相手の経験や知識を見極めることが、前提になります。

質問の具体的な進め方は、以下の記事で解説しています。

関連記事:コーチングのやり方とは?人を動かす4つのスキルと進め方をわかりやすく解説

コーチング・ティーチングのメリット

2つの関わり方には、それぞれ得意なことがあります。ティーチングは、知識や技術を早く、同じ水準で伝えることが得意です。コーチングは、本人が考えて動く力を育てることが得意です。メリットを表で比べたあと、1つずつ見ていきましょう。

関わり方

メリット

ティーチング

知識や技術の習得が早い。部下の行動を管理しやすい

コーチング

自立性が育つ。自分で出した答えなので、意欲が高まりやすい

ティーチングのメリット|習得が早く、行動を管理しやすい

ティーチングの1つ目のメリットは、知識や技術の習得に直結し、結論までが早いことです。指導者が答えを知っているため、試行錯誤の時間を減らせます。

研修のように、同じ内容を多くの人に伝える場面にも向いています。

2つ目は、部下の行動を管理しやすいことです。手順を示し、その通りに進めてもらえば、想定外の事態が起こりにくくなります。品質を一定に保ちたい業務や、ミスが大きな影響を及ぼす業務では、大きな利点です。

ただし、これらは、指示が正しく、相手が理解している場合の話であり、教えた内容が相手の状況に合っているかは、確認しながら進めましょう。

コーチングのメリット|自立性が育ち、モチベーションが高まる

コーチングの1つ目のメリットは、自分で考えて行動する習慣が身につき、自立性が育つことです。指示を待たずに、自分で課題を見つけ、解決策を考える人が増えれば、管理職が細かく指示を出す場面も減っていきます。

2つ目は、自分で出した答えには納得感があり、意欲が高まりやすいことです。人から言われたことより、自分で決めたことのほうが、達成したときの手応えも大きくなります。

この効果は、時間をかけて現れやすいため、1回の面談で成果を求めすぎないことが大切です。数か月単位で、本人の変化を見守る姿勢を持ちましょう。チーム全体で見ても、考えて動く人が増えると、任せられる業務の範囲が広がっていくでしょう。

コーチング・ティーチングのデメリット

メリットの裏には、それぞれの限界があります。デメリットを知っておくと、どんな相手や場面で、関わり方を変えるべきかが分かります。ここでも、先に表で整理し、続けて、どんな状況で現れやすいかを見ていきます。

関わり方

デメリット

ティーチング

主体性が育ちにくい。指導者の知識や経験に左右される

コーチング

習熟に時間がかかる。経験が乏しい相手には、機能しにくい

ティーチングのデメリット|主体性が育ちにくく、指導者の知識に左右される

ティーチングを続けると、相手が指示を待つ姿勢になり、主体性が育ちにくくなります。いつも答えを教えてもらえる環境では、自分で考える機会が少なくなるためです。

また、教える内容は、指導者の知識や経験の範囲に限られます。指導者が知らないことは伝えられず、指導者を超える成長も、生まれにくいでしょう。

とくに、相手が一定の経験を積んでいるのに、教える関わりだけを続けると、「どうせ答えを言われる」と考え、意見を出さなくなる場合があります。

この状態が、後述する「教えすぎ」の失敗です。相手の成長に合わせて、問いかける割合を増やしていきましょう。

コーチングのデメリット|習熟に時間がかかり、経験の乏しい人には機能しにくい

コーチングは、質問、傾聴、承認といったスキルが必要で、管理職が身につけるまでに時間がかかります。

練習を重ねないと、質問が問い詰めになったり、相手の話を聴く前に結論を決めてしまったりしやすくなります。研修を受けるだけでなく、実際の面談で試し、振り返ることが必要です。

もう1つは、スキルや経験が乏しい相手には、機能しにくいことです。判断の材料を持たない新入社員に、「あなたはどう思いますか」と聞いても、答えに困らせてしまうだけです。

この場合は、先に必要な知識や手順を教えたうえで、問いかけに移りましょう。相手の経験を見極めることが、コーチングの前提になります。

どちらが優れているかではなく、状況に合わせた使い分けが大切

ここまで見てきたように、ティーチングとコーチングは、どちらが優れているという関係ではありません。早く確実に伝えたいときはティーチング、考える力を育てたいときはコーチングと、目的によって向き不向きが分かれます。

「コーチングのほうが新しい手法だから、よい」「教えるのは古いやり方だ」という考え方は、使い分けを誤る原因になります。

教え込みで相手が受け身になるのも、質問だけで相手を放置するのも、どちらも、状況に合わない使い方をした結果です。

相手と場面に合わせて選ぶ基準を、次の章で整理します。この見極めは、一度で完璧にできなくても構いません。面談ごとに、相手の反応を見ながら調整していきましょう。

使い分けの基準

使い分けに迷ったときは、4つの問いに答えてみましょう。相手の経験、緊急性、答えが決まっているか、時間と人数の4つです。各問いの考え方を示し、最後に、場面別の早見表にまとめます。

①相手に経験や知識があるか|なければ教え、あれば問う

最初に確認するのは、相手が判断に使える経験や知識を持っているかです。入社したばかりの人や、異動してきたばかりの人は、判断の材料が少ないため、質問をしても答えが出にくくなります。この場合は、先に手順や基準を教えましょう。

一方、同じ業務を何年も続けている人は、判断の材料を持っています。この場合は、教える前に、「どう考えているか」を聞いてみてください。本人の考えを聞けば、足りない部分も見えやすくなります。

同じ人でも、業務によって経験の量は異なります。得意な業務はコーチング、初めての業務はティーチングと、業務ごとに見極めましょう。

②緊急性が高いか|高ければ、先に教える

2つ目の問いは、緊急性です。クレームへの対応、システムの障害、納期の直前など、すぐに動かなければならない場面では、考えさせる時間がありません。この場合は、ティーチングで、取るべき対応を先に示しましょう。

緊急時に質問を重ねると、相手が焦り、対応が遅れる場合もあります。対応が落ち着いたあとに、「何が原因だったか」「次は、どう防ぐか」と問いかけると、学びが定着します。

教えるのは緊急時、問うのは落ち着いたあと、と順番を分けることがポイントです。緊急時にどこまで教えるかは、事前に決めておくと、いざというときに迷いにくくなるでしょう。

③答えが決まっているか|決まっていれば教え、なければ問う

3つ目の問いは、答えが決まっているかどうかです。社内のルール、システムの操作方法、報告の手順のように、正解が1つの内容は、問いかけをしても意味がありません。ティーチングで、正しい方法を教えましょう。

反対に、顧客への提案の仕方、チームの進め方、キャリアの方向性のように、正解が1つではない課題は、本人の考えを聞くことが大切です。

ここで指導者が答えを決めてしまうと、本人の納得感が得られません。答えが決まっているのに質問を重ねると、本人は「答え当てクイズ」をさせられていると感じ、不信感を持つこともあります。

④時間と人数は足りるか|大人数・短時間なら教え、個別・継続なら問う

4つ目の問いは、使える時間と人数です。コーチングは、個別の対話が基本で、効果が出るまでに時間がかかります。数十人に同じ内容を、短時間で伝えたい場合は、ティーチングのほうが適しています。

一方、1対1で、継続して面談の時間が取れるなら、コーチングを取り入れられます。毎週30分の1on1が確保できる場合などです。時間が取れないのに、コーチングを選ぶと、中途半端な質問で終わってしまいます。無理のない範囲で、続けられる方法を選びましょう。

時間が限られる場合は、普段はティーチングを中心にして、月に1回だけコーチングの面談を設ける、という組み合わせも考えられます。

場面別の使い分け早見表|新人の初日、ミスの対応、中堅の課題、キャリアの相談

4つの問いを、よくある場面に当てはめると、次のようになります。あくまで目安で、相手の経験や状況によって変わります。

場面

向く関わり方

理由

新入社員の初日

ティーチング

判断の材料がなく、先に手順と基準が必要

ミスが起きた直後

ティーチング→コーチング

先に対応を示し、落ち着いたあとに原因を問う

中堅社員の業務改善

コーチング

経験があり、自分の考えを持っている

異動後の悩み

ティーチング+コーチング

新しい業務は教え、これまでの経験の活かし方は問う

キャリアの相談

コーチング

正解がなく、本人の希望を言葉にすることが大切

緊急のトラブル対応

ティーチング

考える時間がなく、すぐに行動が必要

ティーチングが有効なケース

ティーチングが力を発揮するのは、相手に判断の材料が少ないとき、時間がないとき、答えが決まっているとき、多くの人に同じ内容を伝えるときです。それぞれのケースで、どう教えるとよいかを見ていきます。

経験や知識が少ない人には、先に手順と理由を教える

新入社員、異動したばかりの人、初めての業務に取り組む人は、判断の材料を持っていません。この場合は、先に手順と、その手順にする理由を教えましょう。

何をどの順番で行うか、どこまでできていれば合格かを、具体的に示します。

教えるときは、一度に多くを詰め込まず、段階に分けると、相手が整理しやすくなります。また、教えたあとに、「やってみて、どうだったか」を聞くと、理解度が分かります。

ある程度できるようになったら、質問を増やし、自分で判断する機会を作りましょう。教える段階は、相手が成長するにつれて短くなっていくのが理想です。

緊急性が高いときは、考えさせずに先に対応を示す

トラブルへの対応、ミスの修正、納期の直前など、すぐに動かなければならない場面では、ティーチングが有効です。考える時間がないうえ、判断を誤ると影響が大きくなるためです。取るべき行動を、短い言葉で、順番に伝えましょう。

「まず、お客様に連絡してください。次に、状況を私に報告してください」といったように、具体的な指示が必要です。対応が落ち着いたあとに、「何が原因だったか」「次に防ぐには、どうするか」を問いかけ、振り返りに移りましょう。

教える場面と、問う場面を分けると、相手も混乱しにくくなります。対応の指示は、短く、順番に、1つずつ伝えるのがコツです。

手順やルールなど答えが決まっている内容は、問わずに教える

社内のルール、システムの操作方法、経費の申請手順、報告の形式など、正解が1つで決まっている内容は、問いかけをしても、時間がかかるだけです。「どうすればよいと思いますか」と聞くより、正しい方法を教えたほうが、相手の負担も少なくなります。

ただし、ルールには、理由がある場合が多くあります。「なぜこのルールがあるのか」を説明すると、相手が納得し、守りやすくなります。

ルールの理由を、相手に推測させて、問う方法もありますが、それは相手に余裕があるときに限りましょう。決まりごとは、先に教えて、早く業務に慣れてもらうことが基本です。

大人数に同じ内容を伝えるときは、まとめて教える

研修やオリエンテーションのように、多くの人に同じ内容を伝える場合は、ティーチングが向いています。共通の知識や基準を、一度に、同じ水準で伝えられるためです。企業の理念や、業務の全体像、基本的なルールなどが当てはまります。

この場合、個別の理解度の差が出ることがあります。研修のあとに、小テストや質問の時間を設けて、理解度を確認しましょう。

さらに、個別の悩みや、応用の部分は、あとから1on1で、コーチングを使って聞くと、フォローができます。全体はティーチング、個別はコーチングと、段階を分けると、無理がありません。

コーチングが有効なケース

コーチングが力を発揮するのは、相手に経験があるとき、正解が1つでないとき、自立を育てたいとき、中長期の成長を考えるときです。それぞれのケースで、どう問いかけるとよいかを見ていきます。

経験がある人には、本人の考えを先に聞く

業務の経験があり、判断の材料を持っている人には、教える前に、本人の考えを聞きましょう。「今の状況を、どう見ていますか」「どう進めたいと考えていますか」と問いかけます。本人の考えを聞くと、すでに分かっている部分と、足りない部分が見えてきます。

足りない部分だけを補えば、教える量が減り、相手も自分で考えた手応えを持てます。中堅社員に、手順から細かく教えると、「信頼されていない」と感じさせる場合もあります。

経験がある人ほど、先に聞く姿勢が、信頼関係を築くきっかけになります。聴き方の基本は、以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてください。

関連記事:傾聴力の高め方とは?鍛える7つのトレーニングと聴き方のコツを紹介

正解のない課題や判断は、本人の考えを聞いて整理する

顧客への提案の仕方、チームの進め方、優先順位のつけ方のように、正解が1つではない課題は、コーチングが向いています。指導者の答えを押しつけるより、本人の考えを聞き、整理を手伝うほうが、納得感のある結論に近づくためです。

質問は、「何を大切にしたいか」「どんな選択肢があるか」「それぞれの良い点と難しい点は何か」のように、考えを広げ、整理するものが有効です。

指導者自身にも考えがあるときは、「私は、こう考えています」と、意見として伝えましょう。答えとして示さず、選択肢のひとつとして渡すと、本人が判断しやすくなります。

主体性を育てたいときは、最後の判断を本人に任せる

指示を待つ姿勢を変えたいときは、最後の判断を、本人に任せる関わり方が有効です。すべてを任せるのではなく、状況を整理する質問を重ねたあと、「あなたは、どうしますか」と聞いて、本人に決めてもらいます。

決めたことを、実行まで支えることも大切です。実行したあとに、「やってみて、どうでしたか」と振り返ると、結果から学ぶ習慣がつきます。小さな判断から任せ、うまくいった経験を重ねると、本人の自信につながります。

失敗しても、責めずに、原因と次の工夫を一緒に考えましょう。任せる範囲は、本人の経験に合わせて、少しずつ広げていくと、安心して取り組めるでしょう。

キャリアや中長期の成長は、時間をかけて本人の希望を言葉にする

1on1でのキャリアの話や、役割の変化に関する相談は、答えが人によって異なるため、コーチングが向いています。将来どうなりたいか、何を大切にしたいかは、本人にしか分かりません。質問を重ねて、本人が自分の希望を言葉にできるよう支えましょう。

こうした話は、1回の面談で結論を出さず、数回に分けて考える場合もあります。「次の面談までに、どんなことを考えてみたいですか」と聞いて、本人のペースで進めてください。

社内の制度や選択肢を、情報として伝える場面では、ティーチングに切り替えます。情報は、本人の希望を聞いたあとに渡すと、受け取りやすくなります。

使い分けを身につける方法

使い分けの考え方が分かっても、実際の面談で使うには、練習が必要です。ティーチングは、教える内容を整理することで身につき、コーチングは、実際に質問を試し、振り返ることで身につきます。身につけ方を、順に整理します。

ティーチングは、手順と理由に分けて言語化する

ティーチングを上手に行うには、教える内容を、手順と理由に分けて、言葉にしておくことが効果的です。慣れている業務ほど、自分では当たり前になっていて、説明が抜けやすくなります。教える前に、業務を、順番と、その順番にする理由に分けて書き出してみましょう。

書き出した手順を、新人の立場で読み返すと、分かりにくい部分に気づけます。また、教えたあとに、本人の言葉で説明してもらうと、理解度を確認できます。このとき、「分かりましたか」と聞くより、「では、やり方を説明してみてください」と頼むほうが、実際の理解が分かります。

コーチングは、練習と振り返りで質問と聴き方が身につく

コーチングは、本を読んだだけでは身につきにくく、実際に質問を試し、振り返ることが必要です。相手の話を、最後まで聴く、短くまとめて返す、答えを急がずに待つ、といった基本は、練習で上達します。

練習の方法は、同僚とのロールプレイ、研修での演習、実際の面談の振り返りなどがあります。面談のあとに、「質問は適切だったか」「話を遮らなかったか」を振り返り、次に試すことを1つ決めると、続けやすくなります。練習の相手や方法は、〔コーチング 練習〕で解説しています。録音や記録を使って振り返る方法もあるため、自分に合う方法を試してみてください。

学ぶ前に、目的・費用・期間・実践の機会を確認する

コーチングを体系的に学ぶ研修やスクールは、数多くあります。選ぶときは、何のために学ぶのか、費用はいくらか、期間はどれくらいか、学んだあとに実践する機会があるか、の4つを確認しましょう。

とくに、実践の機会は重要です。学んだ内容を使う場面がなければ、知識で終わってしまいます。自分の業務で、1on1や面談を行う機会があるか、練習の環境が用意されているかを、確かめてください。資格の種類や、取る意味は、〔コーチング 資格〕で解説しています。資格を取ることが目的にならないよう、注意しましょう。

コーチングを体系的に学ぶ

使い分けを、基準と練習の両方で身につけたい方もいるでしょう。コーチングを体系的に学び、ロールプレイで練習できる選択肢として、ポジウィルコーチングスクールと個別説明会を紹介します。

ポジウィルコーチングスクールとは

ポジウィルコーチングスクールは、キャリア支援者を育てるスクールで、カウンセリング、コーチング、コンサルティングの3つのスキルを、まとめて学べます。期間は約2か月で、全10回のライブ講義があります。1回は90分の講義と30分の質疑応答で、録画のアーカイブもあります。

講義のほかに、毎週ロールプレイングの時間があり、コーチ役と相談者役を交代して練習します。学んだ内容を、実際の対話で試せる点が特徴で、受講生の7〜8割は、コーチングが未経験です。部下との1on1や面談に使いたい方も、副業として相談の経験を積みたい方も、目的に合わせて学べます。

個別説明会で分かること

個別説明会は、無料のオンラインセッションで、プロコーチが担当します。1回目と2回目の2回制で、各回は約45〜60分です。1回目は、これまでの経歴や、いま感じている課題を話し、整理する回です。この回で受講を決める必要はありません。

2回目は、1回目の整理を踏まえて、カリキュラムの進め方、卒業後のサポート、受講料と支払い方法を確認する回です。目的によっては、ほかの選択肢が合う場合もあります。自分の目的に合うかを確かめる機会として、気軽にご活用ください。

関連記事:ポジウィルコーチングスクールの個別説明会とは?当日の流れや内容を解説

経験が浅い人との面談のポイント

経験が浅い人との面談では、先に教え、そのあとで問いかける流れが基本です。教えることで判断の材料を渡し、問いかけることで、自分で考える機会を作ります。会話の例と、進め方のポイントを見ていきましょう。

会話例|手順を教えたあとで、「次はどうしますか」と問う

入社2か月目の部下に、見積書の作成を教える場面を例にします。この会話は、説明のための例です。

  • 上司:「見積書は、まず、お客様の依頼内容を確認し、次に、単価表から金額を拾い、最後に、私に確認します。確認が必要なのは、金額の誤りを防ぐためです」

  • 部下:「分かりました」

  • 上司:「では、この依頼で、最初に確認することは何ですか」

  • 部下:「依頼内容と、納期です」

  • 上司:「その通りです。次に、同じような依頼が来たら、どう進めますか」

先に手順と理由を教え、理解を確認し、最後に、次の行動を本人に問いかけています。教える部分と、問う部分が、はっきり分かれている点がポイントです。

ポイント|教える量を絞り、理由も伝え、理解は本人の言葉で確認する

経験が浅い人には、一度に伝える量を絞ることが大切です。多くを詰め込むと、相手が整理できず、結局、何も身につきません。まず、最も大切な1〜2点に絞り、慣れたら、少しずつ増やしましょう。

教えるときは、理由も一緒に伝えます。理由が分かると、相手が応用しやすくなるためです。理解の確認は、「分かりましたか」ではなく、「やり方を説明してみてください」と聞くと、実際の理解が分かります。

そのうえで、「次は、どうしますか」と問いかけ、自分で考える機会を、少しずつ増やしていきましょう。最初のうちは、面談のあとに、教えた量が多すぎなかったかを振り返ると、調整しやすくなるでしょう。

経験がある人との面談のポイント

経験がある人との面談では、先に本人の考えを聞き、足りない情報だけを教える流れが基本です。本人の考えを土台にすると、教える量が少なくなり、納得感も高まります。会話の例と、進め方のポイントを見ていきましょう。

会話例|先に本人の考えを聞き、足りない情報だけ教える

入社5年目の部下が、新しい顧客への提案の進め方で悩んでいる場面を例にします。この会話は、説明のための例です。

  • 上司:「この提案を、どう進めたいと考えていますか」

  • 部下:「まず、お客様の課題をヒアリングして、そこから資料を作ろうと思っています」

  • 上司:「いい進め方ですね。そのうえで、不安に思っていることは何ですか」

  • 部下:「予算の感触が分からないことです」

  • 上司:「それは、情報として伝えます。このお客様は、昨年、同じ規模の案件を、この金額帯で発注しています。これを踏まえて、どう進めますか」

先に本人の考えを聞き、足りない予算の情報だけを、情報として渡しています。そのあとで、再び、本人に問いかけています。

ポイント|答えを急がず、教えるときは「情報として伝えます」と区別する

経験がある人との面談では、答えを急がず、本人の考えを最後まで聴くことが大切です。途中で結論を言ってしまうと、本人の考えが、聞かれないまま終わります。沈黙があっても、少し待ちましょう。

足りない情報を教えるときは、「情報として伝えます」と一言添えると、押しつけではなく、判断の材料として受け取ってもらえます。

「こうしなさい」という指示と、「こういう情報があります」という材料の提供は、受け取る側の印象が異なります。

最後の判断は、本人に任せ、決めたことを実行まで支えましょう。本人の答えが期待と違った場合も、まず受け止めてから、必要な情報を添えましょう。

教えると問うを切り替えるポイント

面談は、教える場面と、問う場面が、行き来します。切り替えのタイミングを見極める合図を知っておくと、教えすぎや、問い詰めを防げます。教える側に切り替える合図と、問う側に戻す合図を、順に見ていきましょう。

教える側に切り替える合図|答えに詰まる、同じ話を繰り返す、「分からない」と言う

問いかけの途中で、相手が次のような様子を見せたら、教える側に切り替えましょう。

1つ目は、答えに詰まり、沈黙が長く続くとき。2つ目は、同じ話を繰り返し、考えが前に進まないとき。3つ目は、「分かりません」と言うときです。

こうした合図は、本人に判断の材料が足りない状態を示しています。質問を続けても、相手を追い込むだけです。

「ここまでの内容を整理すると、こういう情報があります」と、必要な知識や手順を、先に渡しましょう。渡したあとに、「この情報を踏まえて、どう考えますか」と問いかけると、また、コーチングに戻れます。

問う側に戻す合図|手順を理解し、本人から意見が出る

教えている途中で、次のような様子が見えたら、問う側に戻しましょう。1つ目は、手順を理解して、説明を聞くより、自分で試したそうにしているとき。

2つ目は、本人から、意見や疑問が出てきたとき。3つ目は、「こうしてみたい」と、自分の考えを話し始めたときです。

こうした合図は、本人に判断の材料がそろい、自分で考えられる状態になったことを示しています。ここで教え続けると、「教えすぎ」になり、主体性が育たなくなります。「あなたは、どうしたいですか」「次は、どう進めますか」と、問いかけに切り替え、本人に考える機会を渡しましょう。

よくある失敗と直し方

コーチングとティーチングの使い分けで、よく起こる失敗は、4つあります。教えすぎ、質問攻め、答えを決めた誘導、コーチングを理由にした放置です。それぞれの原因と、直し方を見ていきましょう。

教えすぎると、自分で考えなくなる|最後の1つを問う

部下が困っているのを見ると、つい先回りして答えを教えたくなります。しかし、教えすぎると、部下は、自分で考えなくなり、指示を待つようになります。「どうせ教えてもらえる」と考え、意見も出さなくなります。

直し方は、教える量を減らし、最後の1つを問うことです。たとえば、手順の大部分は教えたうえで、「この最後の部分は、どうしますか」と本人に聞きます。慣れてきたら、問う範囲を、少しずつ広げましょう。

急に全部を任せるのではなく、段階的に減らすほうが、本人も安心して取り組めます。教える範囲を減らしても、困ったときはいつでも相談してほしいと伝えておくと、本人も安心して取り組めるでしょう。

質問攻めは問い詰めになる|「なぜ」を「何が」「どう」に変える

コーチングを意識するあまり、質問を重ねて、相手を追い詰めてしまう失敗があります。とくに、「なぜできなかったのですか」と何度も聞くと、責められていると感じ、相手が萎縮します。

直し方は、「なぜ」を、「何が」「どう」に変えることです。「なぜできなかったのですか」を、「何が難しかったですか」「次は、どうしたらできそうですか」に言い換えます。原因を責める問いから、状況を整理し、次の行動を考える問いに変わります。

質問の数も、1回の面談で、3つ程度に絞ると、相手が答えやすくなるでしょう。相手が答えにくそうなときは、質問を言い換えて、選択肢を示す方法も有効です。

答えを決めた誘導は逆効果|決まっているなら教える

指導者の頭の中に、すでに答えがあるのに、質問を重ねて、その答えに誘導する失敗があります。「これを、どう思いますか。こうではありませんか」といった質問です。本人は、答え当てをさせられているように感じ、不信感を持ちます。

直し方は、答えが決まっているなら、素直に教えることです。「この件は、こうしてほしいと考えています。理由は〜です」と、指示として伝えれば、相手も納得しやすくなります。

本人の考えを聞く質問は、答えが決まっていない場面に限りましょう。誘導かどうかは、「相手の答えが違っても、受け入れられるか」で判断できます。

コーチングを理由にした放置は避ける|必要な情報は先に渡す

コーチングは「相手に任せる」ものと誤解して、必要な情報を渡さずに、放置してしまう失敗もあります。知識や経験がない相手に、「自分で考えてみてください」と伝えても、何をすればよいか分からず、困らせてしまいます。

直し方は、必要な情報を、先に渡すことです。業務の手順、判断の基準、過去の事例など、考えるために必要な材料は、ティーチングで渡しましょう。そのうえで、考える部分を、本人に任せます。

任せたあとも、途中で、「進み具合はどうですか」と声をかけて、困っていないかを確認してください。任せることと、放置することは違います。

コーチング・ティーチングに関するよくある質問

コーチングとティーチングは、どちらを先に覚えるべきですか

先に身につけるなら、ティーチングです。手順と理由を整理して伝える力は、どの立場でも、すぐに使えるためです。

そのうえで、経験のある相手との面談を通じて、コーチングを練習していくと、無理がありません。ただし、1on1を任されているなど、すぐにコーチングが必要な状況であれば、並行して学んでも構いません。基本は、相手の経験に合わせて、使う割合を変えることです。

新人にコーチングは不要ですか

不要ではありませんが、最初は、ティーチングが中心になります。判断の材料がない状態で質問をしても、答えが出にくいためです。

先に、手順や基準を教えたうえで、「やってみて、どうでしたか」「次は、どう進めますか」と、少しずつ問いかけを増やしましょう。新人でも、本人の感じたことや、困っていることを聞く場面は大切です。教えることと、聞くことを、小さく組み合わせてください。

部下が質問に答えられないときは、どうすればよいですか

部下が答えられないときは、判断の材料が足りない状態である場合が多くあります。質問を重ねず、必要な情報や手順を、先に教えましょう。

質問が難しすぎる場合もあります。「どうしたいですか」という大きな問いを、「AとB、どちらが近いですか」のように、答えやすい問いに言い換えると、考えやすくなります。答えを待つ時間も大切ですが、沈黙が長く続くときは、教える側に切り替えるサインです。

1on1では、どちらを使えばよいですか

1on1では、相手の状況に合わせて、両方を使います。業務の進め方や、新しい知識を伝える場面ではティーチング、本人の考えや、将来について聞く場面ではコーチングが向いています。

1回の1on1の中で、切り替えることも多くあります。まず本人の話を聴き、必要な情報を教え、最後に、次の行動を本人に決めてもらう流れが、基本です。

コーチングとティーチングは、同時に使えますか

同時に使えます。実際の面談では、教える場面と、問う場面を、行き来することが多いためです。たとえば、情報を教えたあとに、「それを踏まえて、どうしますか」と問いかけます。

大切なのは、今、自分が教えているのか、問うているのかを、意識することです。意識しないまま混ぜると、誘導や、押しつけになりやすくなります。「情報として伝えます」「あなたの考えを聞かせてください」と、一言添えると、切り替えが相手にも伝わります。

まとめ|使い分けは、相手と場面で決める

コーチングとティーチングの違いは、答えを誰が持っているかです。ティーチングは、指導者が知識や手順を伝え、コーチングは、質問で本人の考えを引き出します。どちらが優れているということではなく、メリットとデメリットがあります。

使い分けは、相手に経験や知識があるか、緊急性が高いか、答えが決まっているか、時間と人数は足りるか、の4つの問いで決められます。経験が浅い人には、教えてから問い、経験がある人には、先に聞いて、足りない情報だけを教えましょう。面談の途中で詰まったら教え、動き出したら問う、という切り替えも有効です。

教えすぎ、質問攻め、誘導、放置の4つの失敗に注意し、実際の面談で試して、振り返りましょう。体系的に学び、練習の機会を探したい場合は、次の個別説明会も選択肢のひとつです。

ポジウィルコーチングスクールの個別説明会

使い分けは、知識として理解するだけでなく、実際の対話で練習することで身につきます。ポジウィルコーチングスクールは、その練習と実践の機会に向き合える選択肢のひとつです。ここでは、学べる内容、サポート、受講料、個別説明会の流れを紹介します。

学べる内容と、サポート

約2か月で、カウンセリング、コーチング、コンサルティングの3つのスキルを学びます。全10回のライブ講義と、毎週のロールプレイングがあり、質問の仕方や、聴き方を、実際に試せます。受講生と業務委託コーチの7〜8割は、コーチングが未経験です。

受講料と支払い方法

項目

内容

期間

約2か月

受講料

660,000円(税込)

分割払い

月額31,900円〜(24回)

入会金

55,000円(税込)

費用は、決して小さな金額ではありません。目的に合うか、費用と期間をかける価値があるかは、説明会で確認してから判断できます。他のスクールや、研修と比べて検討することも大切です。

受講料は、約2か月の講義、ロールプレイ、卒業後のサポートを含めた金額です。分割払いは、月々の負担を抑えられる一方、支払い回数が増えるため、総額もあわせて確認しましょう。入会金の扱いは、個別説明会で確認できます。

個別説明会の流れ

個別説明会は、無料のオンラインセッションで、プロコーチが担当します。1回目と2回目の2回制で、各回は約45〜60分です。1回目は、これまでの経歴と、いま感じている課題を整理する時間です。受講を決める必要はありません。

2回目は、カリキュラム、卒業後のサポート、業務委託トレーナーの条件、受講料と支払い方法を確認します。納得できなければ、受講しないという選択もできます。申し込みを急ぐ必要はありません。

まずは、気軽にお話ししてみてください。事前に聞いておきたいことを、いくつか書き出しておくと、短い時間でも確認がしやすくなるでしょう。

自分だけのキャリアを、
自分でデザインする力を身につけませんか?

ポジウィル
コーチングスクールPOSIWILL COACHING SCHOOL

「ポジウィルコーチングスクール」は、35,000人以上のポジウィルキャリアの支援実績をもとに開発されたオリジナルプログラムを通じて、自分自身でキャリアを考え、行動し続ける力を育てます。一度学べば、どんな仕事に就いても、どんな人生の転機が訪れても、自分らしくキャリアを築いていくことができる、一生役立つスキルが身につきます。

こんな人におすすめ

  • 自分自身で悩み解決やキャリア設計をしていきたい
  • コミュニケーションスキルを高めたい
  • 将来マネジメントにチャレンジしたい
  • 人材業界や人事にキャリアチェンジを考えている
ポストする シェアする LINEで送る noteに書く

関連記事