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コーチングのやり方とは?人を動かす4つのスキルと進め方をわかりやすく解説

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コーチングのやり方とは?人を動かす4つのスキルと進め方をわかりやすく解説

コーチングという言葉は知っていても、実際どう進めればいいのか、自信を持って説明できる人は少ないのではないでしょうか。質問をすればいいと聞いたけれど、やってみると、なんだか尋問のようになってしまう。そんな経験がある方もいると思います。

結論からお伝えします。コーチングは、才能ではなく、型のある技術です。押さえるべきスキルと進め方を知り、練習を重ねれば、誰でも身につけられます。

この記事では、コーチングとティーチング・カウンセリングとの違いから、いま求められている理由、土台となる4つのスキル、そして実際の進め方を、業界で広く使われているGROWモデルという枠組みに沿って、会話例つきで具体的に解説します。

あわせて、やってしまいがちなNGと、指示を出さざるを得ない場面での関わり方まで、実務でそのまま使える内容にまとめました。

目次
  1. コーチングとは?ティーチング・カウンセリングとの違い
  2. コーチングが、今こんなに求められている理由
  3. コーチングの4つの基本スキル
  4. コーチングの進め方|GROWモデルの5ステップ
  5. 会話例で見る|型と型のあいだをつなぐ
  6. やってはいけない|コーチングのNG
  7. 指示が必要な場面でも、コーチングの視点を活かすには
  8. コーチングが向く場面・向かない場面
  9. プロのコーチングを、体系的に学ぶには
  10. コーチングを身につけるには
  11. まとめ|コーチングのやり方は、教え込むより引き出すこと
  12. よくある質問
  13. この記事の技術を、体系的に学びませんか

コーチングとは?ティーチング・カウンセリングとの違い

まず、混同されやすい3つの言葉を整理しておきます。

コーチング

ティーチング

カウンセリング

目的

本人の中にある答えを引き出し、行動を決める

知識やスキルを教え、身につけさせる

抱えている不安や悩みを整理し、心を軽くする

関わり方

問いを中心に、本人が考える

教える側が、答えを渡す

傾聴を中心に、気持ちに寄り添う

主導権

本人にある

教える側にある

本人にある(進行は支援者)

向く場面

本人が材料を持っているが、まだ言葉になっていないとき

本人がまだ知識や経験を持っていないとき

気持ちが揺れていて、まず整理が必要なとき

判断に迷ったら、次のように考えてみてください。相手がまだやり方を知らないなら、ティーチング。相手の気持ちが揺れていて、まず受け止める必要があるなら、カウンセリング。相手の中にすでに材料があり、それを引き出して行動につなげたいなら、コーチングです。

実際の対話では、この3つを厳密に切り分けられない場面も多くあります。まずは気持ちを受け止め、そのあと問いで引き出す、というように、組み合わせて使うのが自然です。

コーチングが、今こんなに求められている理由

なぜ、これほど多くの職場でコーチングが注目されているのか。ここで、その背景を確認しておきます。

ひとつは、トップダウン型のマネジメントだけでは、立ち行かなくなっていることです。上から指示を出し、その通りに動かせばよかった時代とは違い、変化の速い今は、一人ひとりが自分で考えて動く力が求められています。

もうひとつは、価値観が多様化していることです。同じ指導法が、全員に効くとは限りません。一人ひとりに合わせて関わる必要があり、それを可能にするのが、相手の中にある答えを引き出すコーチングです。

そして、これが本質的な理由ですが、業務のやり方を教えるだけの関わりより、自分自身を振り返る機会を持てる関わりのほうが、成長の実感につながりやすいと言われています。答えを渡されるより、自分で気づいたことのほうが、記憶にも行動にも残ります。

コーチングは、人を育てていく上で欠かせないスキルなのです。

コーチングの4つの基本スキル

コーチングは、いくつかのスキルの組み合わせで成り立っています。代表的なのが、次の4つです。

ただし、覚えておきたいのは、これらは相手を上手に動かすためのテクニックではない、ということです。4つとも、相手が自分で答えにたどり着くのを助ける、という一点につながっています。

人は、頭の中で考えているだけのことを、口に出して誰かに聞いてもらうと、ばらばらだった考えがつながっていきます。

コーチのスキルは、その整理を横で支える道具だと考えてください。

コーチングの4つの基本スキル

コーチングを支えるのは、次の4つのスキルです。どれか一つではなく、一つの対話の中で、続けて使われます。

傾聴|引き出す土台になる

相手が、安心して話せる状態をつくるスキルです。具体的には、手元の作業から目を離して相手に体を向ける、相槌にバリエーションを持たせる、話の途中で遮らない、といった行動が土台になります。

なぜこれが効くのか。人は、聞いてもらえていない、と感じた瞬間に、本音を話すのをやめるからです。逆に、最後まで聴いてもらえた、という経験の積み重ねが、次も話そうという気持ちにつながります。

  • NG:部下「実は最近……」上司「あ、それってさ」(話の途中で、内容を引き取って自分の意見を挟む)

  • OK:部下「実は最近……」上司「うん、それで?」(最後まで聴いてから、必要なら確認する)

ポイント:口を挟みたくなった瞬間こそ、我慢のしどころです。話の続きを促す、うん、それで、という一言だけを、まず用意しておいてください。

なお、傾聴ができていないと、この先の質問がどれだけ優れていても、相手には響きません。傾聴力を具体的に高める方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:傾聴力の高め方とは?部下の本音を引き出す聴き方のコツと、聴けない癖の直し方

質問|考えを広げ、深める

相手が、自分では気づいていない考えに気づくよう、問いを投げるスキルです。

「なぜできなかったの?」と理由を問い詰めるのではなく「今、どこまで進んでる?」と事実から入ります。

また、問いには、閉じた問いと開いた問いの2種類があり、場面によって使い分けましょう。

閉じた問いは、はい・いいえや、一言で答えられる問いです。

「今日中に終わりそう?」という具合で、事実をすばやく確認したい場面、あるいは、相手が話しづらそうにしていて、まず答えやすい問いから入りたい場面に向いています。

一方、開いた問いは、自分の言葉で説明してもらう問いです。

「今回のことを振り返って、どう感じてる?」という具合で、相手に考えを広げてもらいたい場面、事実がある程度見えたあと、その先の気持ちや意向を深めたい場面に向いています。

順番としては、閉じた問いで場を温め、答えやすさを確保してから、開いた問いで深める、という流れが基本です。

いきなり開いた問いだけを重ねると、相手は何から話せばいいか分からず、詰まってしまうことがあります。

これが効果的な理由は、「なぜ」で始まる問いは、理由を尋ねているようで、実際は相手を責める響きを持つからです。

問い詰められた相手は、原因を説明するより、自分を守る言い訳を探し始めます。

  • NG:「なんで、今回のプレゼンはうまくいかなかったの?」(原因追及の響きが、防御姿勢を招く)

  • OK:「今回のプレゼン、振り返ってみて、どこが一番の分かれ目だったと思う?」(事実と気づきに焦点を当てる)

ポイント:「なぜ」を使いたくなったら、いったん飲み込んで、「何が」「どこが」に置き換えてください。この一語の変換だけで、詰問が振り返りに変わります。

場面ごとの具体的な質問例は、以下の記事にまとめています。

関連記事:すぐ使える1on1の質問例50|目的別リストと、会話が続く受け方

承認|その人らしさを、具体的な言葉にする

相手の強みや工夫を、具体的な言葉にして返すスキルです。

「すごいね、頑張ってるね」といった抽象的な褒め言葉ではなく、「あの場面で、先に確認を入れてたよね。そういう慎重さが強みだと思う」というように、事実に紐づけて伝えます。

抽象的な褒め言葉は、誰にでも言える一般論に聞こえ、お世辞として受け流されやすいものです。具体的な事実に紐づけると、自分のことをちゃんと見てくれている、という実感に変わります。

  • NG:「いつもよく頑張ってるね」(誰にでも言える一般論で、記憶に残らない)

  • OK:「さっきの会議で、意見が割れたとき、先に相手の言い分を確認してから話してたよね。あの落ち着きが、あなたの強みだと思う」(事実と結びついた、具体的な承認)

ポイント:褒め言葉を口にする前に、いつ・どの場面で、という具体を一つ思い出してください。場面が特定できないなら、それはまだお世辞の段階です。

具体的な言葉にするほど、相手の記憶に残り、自信につながります。

フィードバック|見えたことを、そのまま返す

相手の言葉だけでなく、表情や声のトーンの変化も、材料にして返すスキルです。

「順調です」と言いながら、どこか歯切れが悪い。そんなとき「順調って言ってたけど、何か引っかかってる?」と、見えたことをそのまま伝えると、本人も気づいていなかった気持ちに触れるきっかけになります。

言葉だけを額面どおり受け取ると、本人も言語化できていない違和感を、見過ごしてしまいます。

見えた変化を、決めつけずに伝えることで、本人が自分の状態に、あらためて向き合うきっかけになるのです。

  • NG:部下「順調です」(歯切れの悪い言い方だったが)上司「そう、順調ならよかった」(言葉どおりに受け取り、違和感を流す)

  • OK:部下「順調です」(歯切れの悪い言い方)上司「順調って言ってたけど、なんとなく歯切れが悪い気がして。何か引っかかってる?」(見えたことを、決めつけずに伝える)

ポイント:言葉と様子が、ちぐはぐだと感じたら、そのちぐはぐさ自体を、そのまま言葉にして返してください。理由を決めつけず、見えたことだけを伝えるのがコツです。

この4つは、バラバラの技ではありません。傾聴で場をつくり、質問で考えを広げ、承認で自信を渡し、フィードバックで気づきを返す。一つの対話の中で、続けて使われて、初めて効果を発揮します。

関連記事:部下育成の方法とは?基本のポイント・指導法と聞き方・問い・強みの引き出し方を会話例で解説

関連記事:後輩育成のポイント|教え込むより引き出す育て方と、よくある悩みの対処法

この4つは、別々に使う技ではありません。実際には、一回の対話の中で、続けざまに使われます。次の章で、その流れを見ていきます。

コーチングの進め方|GROWモデルの5ステップ

4つのスキルを、実際にどう組み合わせて対話を進めるか。ここでは、コーチングの分野で広く使われているGROWモデルという枠組みに沿って、5つのステップで解説します。

GROWは、Goal(目標)・Reality(現状)・Resource(資源)・Options(選択肢)・Will(意思)の頭文字です。この順番で対話を運ぶと、思いつきの雑談で終わらず、次の行動まで、自然にたどり着けます。

1. 現状を聞く(Reality)

まず、今どんな状況にあるかを聞きます。「今、一番気になっていることは?」「その状況を、もう少し詳しく教えて」と、事実から入ります。

ここで焦って解決策に飛びつかず、まずは状況を正確に把握することに集中してください。

  • NG:「それって、要するにAが原因ってことだよね?」(早々に決めつけ、状況把握を打ち切る)

  • OK:「もう少し詳しく聞かせて。具体的には、どんな場面で困ってる?」(決めつけず、事実を丁寧に集める)

ポイント:結論を急ぎたくなったら、まだ聞き足りていないサインです。具体的には、と、もう一段だけ掘り下げてください。

2. 課題に気づいてもらう

聞いた事実をもとに、本人が、本当の課題に気づけるよう手伝います。

「話を聞いていて、一番のボトルネックはどこだと思う?」と、本人の言葉で言語化してもらいます。上司が課題を指摘するより、本人が自分で気づいたほうが、納得感が違います。

  • NG:「それは、あなたの準備不足が原因だね」(上司が結論を言い渡す)

  • OK:「いくつか話を聞いたけど、その中で、一番のネックはどれだと思う?」(本人に言語化させる)

ポイント:課題を見つけても、それを口にするのはあなたではなく本人です。見つけた課題は、いったん自分の中にしまっておいてください。

3. ありたい状態を描く(Goal)

次に、目標を描きます。「理想としては、どうなっていたい?」「それが叶ったら、何が変わる?」と、具体的にイメージしてもらいます。

ここでのポイントは、遠すぎる目標にしないことです。半年後、来月、今週、というように、手が届く範囲まで具体化します。

  • NG:「じゃあ、いずれはリーダーを目指そうか」(本人の言葉でなく、上司が目標を設定する)

  • OK:「理想を言葉にするなら、どんな状態になっていたい?」「それが叶うと、何が一番変わりそう?」(本人の言葉で、具体的に描かせる)

ポイント:目標が漠然としていたら、それが叶ったら何が変わる、と一段掘って、手が届く範囲まで具体的にしてください。

4. 使えるリソースを見つける(Resource)

ここが、多くの人が見落としがちなステップです。

目標が見えたら、すぐに行動計画に飛びたくなりますが、その前に、本人がすでに持っている資源を、一緒に棚卸しします。

「これまでで、似たような状況をうまく乗り越えたことはある?」「これができたら、力を貸してくれそうな人はいる?」「まだ試していない方法で、気になっているものはある?」

過去の成功体験、頼れる人、試したことのない方法。これらを先に広げておくと、次の選択肢の質が大きく変わります。

目標から直接行動に飛ぶと、思いつく範囲の狭い選択肢に限定されがちです。リソースを一度広げてから選ぶほうが、本人が納得できる行動にたどり着きやすくなります。

  • NG:目標を聞いたら、そのまま「じゃあ、来週から何をする?」と行動決定に直行する(自分の持つ材料に気づかないまま、狭い選択肢で決めてしまう)

  • OK:「その目標に近づくために、これまでの経験で使えそうなものはある?」「相談できそうな人に、心当たりはある?」(行動の前に、資源を一度広げる)

ポイント:目標を聞いた直後は、まだ行動を決めるタイミングではありません。これまでで、これができたら、という2つの問いを、必ず一度挟んでください。

5. 次の一歩を決める(Options→Will)

最後に、行動を決めます。ここも2段階で進めると効果的です。

まず、選べる選択肢を、複数挙げてもらいます(Options)。「今のリソースを踏まえると、どんなやり方が考えられそう?」

そのうえで、その中から一つを選んでもらいます(Will)。「その中で、まず何から始めてみる?」

複数の選択肢から自分で選んだ行動は、押しつけられた行動より、実行に移されやすくなります。

  • NG:「じゃあ、まずはこれをやってみて」(上司が一つに絞って指示する)

  • OK:「考えられるやり方を、いくつか挙げるとしたら?」「その中で、一番しっくりくるのはどれ?」(複数挙げてから、本人に選ばせる)

ポイント:一つに絞るのは、あなたの役目ではなく本人の役目です。まず複数を挙げさせ、選ぶ、という2つの動作を、分けて行ってください。

この5ステップを、毎回すべて厳密になぞる必要はありません。ただ、順番を意識しておくと、目標を描いただけで終わる、行動だけ決めて中身が薄い、といった対話の抜け漏れを防げます。

会話例で見る|型と型のあいだをつなぐ

ここまでのスキルとステップを知っていても、実際の対話で、うまくつなげられないことがあります。型と型のあいだをどうつなぐか、会話例で見てみます。

部下が、新しいプロジェクトへの異動を打診されて、迷っている場面です。

上司「異動の件、今どんな感じ?」

部下「正直、まだ迷っていて」

上司「迷ってるんだね。(間)……何が一番、引っかかってる?」

部下「新しい分野で、うまくやれるか自信がなくて」

上司「自信が持てないんだね。ちなみに、これまでで、未経験の分野に飛び込んで、意外とうまくいった経験ってある?」

部下「そういえば、入社1年目に配属された部署も、最初は全然違う分野で不安でした。でも、周りに聞きながら、なんとかやれるようになったので……」

上司「そのときも、周りに聞きながら乗り越えたんだね。今回も、頼れそうな人はいる?」

部下「同期でその分野に詳しい人がいるので、相談してみようと思います」

上司「いいね。まずは、その同期に話を聞いてみる、というところからやってみる?」

部下「はい、そうします」

上司がしたのは、現状を聞き(迷っている)、課題に気づかせ(自信が持てない)、過去の似た経験というリソースを引き出し、そこから、頼れる人という新たなリソースにつなげ、最後に、本人の言葉で次の一歩を決めさせただけです。指示は一つもしていません。それでも、部下は自分から、具体的な次の行動にたどり着きました。

やってはいけない|コーチングのNG

引き出すつもりが、かえって相手の考える力を奪ってしまう関わりもあります。心当たりがあれば、まずここをやめるだけで変わります。

  • 指示ばかり出す:これをやって、次はこう、と手順を渡し続けると、相手は考える機会をなくします。同じことでも、「次はどうすればいいと思う?」と問いに変えます。

  • 話を遮る・否定する:途中で、それは違う、と挟むと、どうせ言っても無駄だ、と口を閉ざします。最後まで聴いて、「そう考えたのは、どうして?」と理由を聞きます。

  • 答えを先回りする:解決策が見えても、すぐ渡すと、本人が気づく機会を奪います。いったん飲み込んで、本人に考えてもらいます。

  • 成果を急ぐ:すぐ変わらないと相手を急かすと、関係が悪くなります。時間がかかって当然、と構えることが、結局は近道です。

これらに加えて、もう一段深いところにある、2つの落とし穴も知っておいてください。

質問が、誘導尋問に聞こえてしまう

これは、質問の技術そのものより、その手前にある土台が原因であることが多いです。信頼関係がまだ十分でない相手に、いきなり深い問いを重ねると、この人はどこに着地させたいのだろう、と身構えられてしまいます。

急に核心を突く前に、まず日常のやり取りで、最後まで話を聞く、こまめに関心を示す、という積み重ねを優先してください。この土台をラポールと呼びますが、名前を知らなくても、要は、この人になら話してもいい、という信頼の積み重ねのことです。

型に頼りすぎて、表面的な対話になる

手元の型を見ながら、次はこの質問、と考えながら進めると、それが相手にも伝わり、機械的に処理されている、と感じさせてしまいます。

型は、覚えたら一度手放してください。目の前の相手が実際に言った言葉に、素直に反応することを、型よりも優先します。GROWモデルも、順番を暗記することが目的ではなく、対話が脱線しないための、緩やかな地図だと捉えてください。

指示が必要な場面でも、コーチングの視点を活かすには

ここまで読んで、緊急時や、相手がまだ判断材料を持たない場面でも、コーチングをしなければいけないのか、と感じた方もいるかもしれません。答えは、いいえです。

締切が迫っている、相手がまだ経験不足で判断できない、といった場面では、指示(ティーチング)のほうが適しています。コーチングと指示は、対立するものではありません。

そんなときにできる工夫があります。指示を伝えたあとに、一言、思いやりや裁量を示す言葉を添えるだけで、相手の自発性を保ちやすくなります。

「これをお願いしたい。急にごめんね。あなたに任せられると思ってる」「この部分は、こちらで決めさせてもらうね。ただ、進め方の細かいところは、あなたに任せるよ」

指示そのものは変えなくても、この一言があるかないかで、相手が、ただ言われたことをやらされている、と感じるか、信頼されて任されている、と感じるかが変わります。コーチングを学んだからといって、指示を出しづらくなる必要はありません。

コーチングが向く場面・向かない場面

コーチングは万能ではありません。向く場面と、向かない場面があります。

向いているのは、本人に答えを出させたいとき、主体性を育てたいとき、そして、重要だけれど今日明日を争うわけではない育成の場面です。じっくり対話を重ねる価値があります。

向かないのは、一刻を争う緊急時や、そもそも相手にまだ知識がなく、まず教える必要がある段階です。ここで問いばかり投げても、相手は困ってしまいます。この場合は、先にティーチングで土台をつくります。

そして、正直にお伝えすると、コーチングは時間がかかりますし、相手の状態やこちらの余裕によって、手応えが揺れることもあります。焦らず続けることが前提です。

もし、相手の元気のなさが続くなど、気になるサインがあるときは、コーチングで抱え込まず、上司や人事、必要に応じて専門の相談窓口につなぐことも考えてください。

プロのコーチングを、体系的に学ぶには

ここまでの技術は、独学でも実践できます。ただ、自己流で続けていると、これで合っているのか、と不安になる場面も出てくると思います。

そんなときは、プロコーチによる無料の個別説明会で、自分のコーチングの状況や悩みを聞いてもらう、という方法もあります。

まずは、話を聞いてもらうところから始めてみませんか。

コーチングを身につけるには

体系的に学ぶ方法として、大きく2つの道筋があります。どちらが正解ということはなく、自分の状況に合わせて選んでください。

独学で身につける場合

進め方は、この記事や関連記事で型を知り、日々の1on1や後輩育成で一つずつ試し、うまくいった・いかなかったを自分で振り返る、というサイクルです。

メリットは、コストをかけず、自分のペースで始められることです。まず試してみたい人、日々の対話の中で少しずつ試行錯誤できる環境がある人に向いています。

一方で、注意点もあります。質問のつもりが誘導尋問になっている、といった自分のクセには、自分ではなかなか気づけません。振り返りの精度が、上達の速さを大きく左右します。

スクールで体系的に学ぶ場合

進め方は、ロールプレイングで実際に対話を練習し、プロコーチから客観的なフィードバックを受け、修正する、というサイクルを、プロの伴走のもとで繰り返します。

メリットは、自分では気づけないクセを、早い段階で指摘してもらえること。そして、理論と実践を往復しながら、体系的に身につけられることです。

早く身につけたい人、自己流に限界を感じている人、部下育成やキャリア支援を仕事にすることも視野に入れている人に向いています。

まずは独学で試してみて、壁にぶつかったらスクールを検討する、という順番でもかまいません。どちらから始めても、続けることが、いちばんの上達の近道です。

まとめ|コーチングのやり方は、教え込むより引き出すこと

コーチングは、才能ではなく、練習で身につく技術です。

  • コーチングは、本人の中にある答えを引き出す関わり。ティーチング(教える)、カウンセリング(受け止める)とは目的が違う

  • 支えるのは、傾聴・質問・承認・フィードバックの4つのスキル

  • 進め方は、現状を聞き、課題に気づかせ、目標を描き、使えるリソースを見つけ、行動を決める、という流れ

  • とくに、目標を描いたあとすぐ行動に飛ばず、リソースを棚卸しするステップが、対話の厚みを左右する

  • 誘導尋問になる、型に頼りすぎる、といった失敗の多くは、信頼関係の土台か、型への依存が原因

  • 指示が必要な場面でも、一言添えるだけで、コーチングの視点は活かせる

  • 独学でもスクールでも、続けることが、いちばんの上達の近道

まずは次の対話で、目標を聞いたあと、すぐに行動を決めさせず、これまでで似た状況を乗り越えた経験は、と一つ聞いてみてください。それだけで、対話の厚みが変わってくるはずです。

よくある質問

コーチングとティーチングは、どちらが正しいのですか。

どちらが正しい、というものではなく、使い分けです。知識や経験がまだ足りない相手には、まずティーチングで教えます。自分でできるようになってきたら、コーチングで考える力を伸ばします。相手の習熟度で、割合を変えていきます。

口下手でも、コーチングはできますか。

できます。コーチングの主役は、話すことではなく、相手に話してもらうことです。自分が上手に語る必要はありません。むしろ、聴くことに徹しやすい人のほうが、向いている面もあります。

効果が出るまで、どれくらいかかりますか。

コーチングは、すぐに成果が出るものではありません。相手が自分で気づき、行動が定着するまでには、時間がかかります。一度でうまくいかなくても、焦らず続けることが前提です。

1on1とコーチングは、何が違うのですか。

1on1は、上司と部下が定期的に話す場のこと。コーチングは、その中でも使える、相手の答えを引き出す関わり方です。1on1の進め方そのものは、以下の記事をご覧ください。

関連記事:1on1のやり方とは?基本と本音を引き出す聞き方・質問例を会話例で解説

部下が答えを持っていない場合は、どうすればいいですか。

まだ知識や情報が足りず、考えようがない場合は、コーチングより先に、必要なことを教えるのが先です。土台ができてから、引き出す関わりに移していきます。

この記事の技術を、体系的に学びませんか

ここまでお伝えした、4つのスキルとGROWモデルの5ステップは、コーチングという分野で体系化されている技術の骨格です。自己流のまま実践を重ねるより、体系的に学び、フィードバックを受けながら磨いたほうが、確実に、そして早く身につきます。

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