
1on1で何を聞けばいいか迷う。毎回、同じ質問になってしまう。そんな管理職の方に向けて、この記事では、すぐ使える1on1の質問例を目的別にまとめました。
まず、どの1on1でも使える厳選の10問。次に、業務・モチベーション・キャリア・関係づくり・振り返りの目的別リスト。さらに、部下の口を閉ざす避けたいNG質問と、新人・ベテラン・口数の少ない部下への出し分け。最後に、同じ質問でも会話が続く人と止まる人の違いを、会話例つきで解説します。
まず使いたい|1on1の厳選質問10
迷ったら、この10問から選べば大きく外しません。業務、気持ち、キャリア、関係づくり、次の一歩を、一通りカバーしています。
「いま、一番時間をかけている仕事はどれ?」
「進めていて、引っかかっているところはどのあたり?」
「その中で、しんどいと感じることはある?」
「最近、やっていて手応えを感じた場面はどこ?」
「いまの仕事量は、無理なくこなせている?」
「チームで、もっとこうなったらいいのに、と思うことはある?」
「私に、もっとこうしてほしい、ということはある?」
「これから、伸ばしていきたい力はある?」
「あなたとしては、この先どう進めたいと思ってる?」
「次の1週間で、まず何から手をつけてみる?」
目的に合わせて選びたい方は、次の目的別リストからどうぞ。
目的別|1on1の質問例リスト
ここからは、5つの目的別に、合計50問をそろえました。質問は、その日の状況に合わせて選びます。今日はどの目的で話すかを決めて、そこから数問を選ぶ、という使い方がおすすめです。
業務・課題を引き出す
進捗確認だけで終わらせず、困りごとや引っかかりを引き出すための質問です。
「いま、一番時間をかけている仕事はどれ?」
「進めていて、思ったより手こずっているところはある?」
「止まっている、あるいは後回しになっている作業はある?」
「この仕事の中で、やりにくさを感じる部分はどこ?」
「もし一つだけ、進め方を変えられるとしたら何を変えたい?」
「誰かの手を借りれば、早く進みそうなことはある?」
「最近、これはうまくいかなかったな、と思ったことは?」
「いまの優先順位で、判断に迷っているものはある?」
「いま抱えている中で、これが片づくと一番ラクになる、というのはどれ?」
「進め方で、これで合っているか確かめたい、と思っていることはある?」
モチベーション・コンディションを確認する
やる気の上がり下がりや、体調・負荷を確認するための質問です。体調や私生活の深い部分には踏み込みすぎず、相手が話したい範囲にとどめます。
「最近、仕事をしていて面白いと感じた瞬間はある?」
「逆に、気が重いな、と感じる業務はある?」
「どんなときに、仕事が乗ってくる感じがある?」
「いまの仕事量は、無理なくこなせている?」
「忙しさで、後回しになっている休息はある?」
「疲れが残っていないか、気になることはある?」
「最近、認められたな、と感じた場面はあった?」
「いまの働き方で、これが続くとしんどいな、と感じることはある?」
「一日の中で、集中できている時間帯はいつごろ?」
「仕事の中で、これがあるから頑張れる、というものはある?」
キャリア・成長を支援する
将来の話は、遠い未来から聞くと固まりがちです。直近の手応えから入ると、伸ばしたい方向が自然に出てきます。
「最近、成長を実感できた場面はあった?」
「いまの仕事で、もっと伸ばしたいと思う力はある?」
「この先、やってみたい仕事や役割はある?」
「半年後、できるようになっていたいことはある?」
「いまの業務は、自分のやりたい方向とつながっている感じがある?」
「学びたいことで、会社に手伝ってほしいことはある?」
「これまでの仕事で、一番手応えがあったのはどんな場面?」
「自分では、得意だなと思える仕事はどれ?」
「逆に、苦手だから誰かと組みたい、という仕事はある?」
「一年後、周りからどんなふうに見られていたい?」
なお、ここで扱うのは、あくまで仕事の中での成長です。人生全体の設計にまで踏み込む場ではありません。
関係を築く・相互理解を深める
とくに1on1を始めたばかりの時期に効く質問です。上司が先に少し自己開示すると、部下も返しやすくなります。
「最近、仕事以外でハマっていることはある?」
「チームの中で、相談しやすい相手はいる?」
「私のやり方で、やりにくいと感じるところはある?」
「自分の強みって、どんなところだと思う?」
「仕事で大事にしている、こだわりや価値観はある?」
「チームの雰囲気について、気になっていることはある?」
「仕事をするうえで、これだけは譲れない、ということはある?」
「どんなふうに関わってもらえると、仕事がしやすい?」
「最近、チームの中で、これ助かったな、と思ったことはある?」
「私にもっと共有しておいてほしい、と思うことはある?」
目標を振り返る
結果が出たかどうかだけでなく、その過程の工夫や学びに目を向けると、次につながります。
「今回の取り組み、自分ではどう振り返ってる?」
「うまくいったと感じるのは、どの部分?」
「思うように進まなかったのは、何が要因だったと思う?」
「その中で、自分なりに工夫したことはある?」
「次に同じ状況なら、どこを変えてみたい?」
「今回の経験から、次に活かせそうな学びはある?」
「取り組む前と後で、見え方が変わったことはある?」
「一番時間を使ったわりに、手応えが薄かったのはどこ?」
「周りの助けで、これは大きかった、というものはある?」
「次に向けて、まず一つだけ変えるとしたら何?」
避けたい|1on1のNG質問
良い質問がある一方で、部下の口を閉ざしてしまう質問もあります。なぜ相手が身構えるのかまで含めて、無意識に使っていないか確認してみてください。それぞれ、置き換え方も添えます。
「なぜできなかったの?」
「なぜ」は理由をたずねているようで、実際は責めているように響きます。問われた部下は、原因を説明するより、責められないための言い訳を探し始めます。
その結果、事実も本音も出てきません。「何がネックだった?」「どうすれば進みそう?」と、過去の追及ではなく、事実と次の行動に向かう問いに変えます。
「最近どう?」
範囲が広すぎて、何を答えれば正解なのか分かりません。だから部下は、いちばん無難な「まあ普通です」でかわします。
悪気なく毎回これを聞くと、空返事だけが積み重なっていきます。例えば「今週、一番時間をかけたのはどれ?」と、答える範囲を狭く具体的にすると、返事が変わります。
「AさんとBさん、どっちができると思う?」
比較をさせられた部下は、自分も裏で誰かと比べられている、と感じます。しかも同僚を下げる発言はしたくないので、当たり障りのない答えでかわします。
「評価に響くから、正直に言って」
「正直に」という前置きが、かえって、ここで話すことは評価材料になる、と宣言してしまっています。部下は自分を守るため、優等生の回答に切り替えます。
1on1は評価と切り離し、ここは相談の場だと言葉で伝え、実際にそれを守りましょう。
「何か困ってることある?」(毎回同じ。)
質問自体は悪くありませんが、毎回同じだと、「ない」と答えるのが儀式になります。困っていても、この流れで切り出すのは気が重いのです。
質問を回し、前回の続きや、今週の具体的な事実から入ると、本当の困りごとが出やすくなります。
「自分の若い頃はね」
そもそも質問になっていません。部下の話を聞くはずの時間が、上司の昔話に置き換わってしまいます。部下は聞き役に固定され、自分の話をする機会を失います。経験談は、短く、求められたときにだけ添えます。
相手別|質問の出し分け
同じ質問でも、相手によって効き方は変わります。なぜそのタイプにその入り方が向くのかも、あわせて押さえておきましょう。
新人・若手
経験が浅いうちは、良し悪しを判断する基準がまだできていません。だから、どう思う、といった抽象的な問いには、何をどう答えればいいか分からず固まってしまいます。
範囲を絞った具体的な問いなら答えやすく、そこから会話を広げられます。「今週、一番印象に残った仕事はどれ?」「先輩の仕事で、真似したいと思ったことはある?」のように、事実や具体から入りましょう。
ベテラン
経験豊富な相手に、基本的な確認ばかりを繰り返すと、信用されていない、管理されている、と感じさせてしまいます。逆に、判断や意見を求められると、頼られていると感じて主体的に話してくれます。
「この件、率直にどう思う?」「チーム全体で、いま一番気になっているのはどこ?」と、組織の視点で相談する相手として関わるのがコツです。
口数が少ない部下
内向的な人は、頭の中で考えを整理してから話す傾向があります。オープンな問いを投げて沈黙が続いても、それは話す気がないのではなく、考えをまとめている時間です。
急かさず、「A案とB案、どっちがいい?」と選択肢を示したり、あらかじめテーマを渡したりすると、答えやすくなります。
より詳しい部下との関わり方については、以下の記事でまとめています。

関連記事:部下が話してくれない原因と対処法|本音を引き出す聞き方・質問例を会話例で解説
同じ質問でも、会話が続く人と止まる人がいる
ここまでの質問を使っても、会話が続く人と、一往復で終わる人がいます。その差は、多くの場合、質問の選び方ではありません。返ってきた答えを、どう受けて、次の一問へどうつなぐか、という受け方にあります。ここが、質問リストを本当に使いこなせるかどうかの分かれ目です。
そもそも1on1の質問は、上司が知りたい情報を集めるためのものではありません。部下自身が、自分の考えを言葉にして整理するためのものです。
人は、頭の中で思っているだけのことを、口に出して自分の耳で聞くと、考えがまとまっていきます。だからこそ、上司が先に答えを渡してしまうと、その整理の機会を奪うことになります。
質問は、部下が自分で気づくための道具だと考えると、受け方が自然と変わります。
答えは、事実から気持ち、どうしたいの順に掘る
一つの答えが返ってきたら、すぐ次の質問に飛ばず、その話題を掘ります。まず、何をしたか、という事実。次に、それをどう感じたか、という気持ち。最後に、これからどうしたいか、という本人の意向。
この順にたどると、一つの質問が、状況の共有から本人の気づきへと深まっていきます。いきなり、どうしたい、と聞いても答えにくいのは、事実と気持ちを飛ばしているからです。
抽象的な言葉は、一つだけ具体化する
これが、話を掘り下げる一番のポイントです。「大変でした」「うまくいきました」といった答えは、そのままだと解像度が粗いままです。
そこで、「たとえば、どんなこと?」「具体的には、どの場面?」と、一つだけ具体を尋ねます。掘り下げのコツは、話題を横に広げることではなく、一つの答えを縦に深めることです。
一点が具体的になると、そのときの気持ちも、次にどうしたいかも、ぐっと掘りやすくなります。
返ってきた言葉は、言い換えずそのまま返す
「しんどかった」と言われたら、「しんどかったんだね」と、同じ言葉で返します。ここで「大変だったね」や「成長のチャンスだね」と言い換えると、微妙にずれます。
自分の言葉をそのまま受け止めてもらえた、という感覚が、次の一言を引き出します。評価も励ましも、まずは横に置きます。
言葉だけでなく、様子の変化も返す
表情や声のトーンの変化も、受け止めの材料になります。「その話になると、少し表情が曇るね」と、見えたことをそのまま伝えると、本人も気づいていなかった気持ちに触れるきっかけになります。
このとき、落ち込んでいるに違いない、と決めつけず、私にはこう見えた、という形で返すと、押しつけになりません。
答えを待つ。最初の答えで畳まない
問いを投げたら、3秒は待ちます。沈黙は、話す気がないのではなく、考えている時間です。しかも、最初に返ってくる答えは、たいてい当たり障りのないものです。
そこで、「そうなんだ」と受けて、もう一呼吸待つと、「実は」と本音の二言目が出てくることがあります。ここで「それは違う」「こうすべき」と即座に助言や評価を挟むと、部下は考えるのをやめ、上司の答えを待つようになります。
まず最後まで聞き切り、必要なら、そこから一緒に考えます。
良い質問リストは、出発点にすぎません。それを、部下が自分で気づくための問いに変えるのは、受け方です。質問を増やすより、この受け方を一つ意識するほうが、会話はずっと続きます。
会話例|同じ質問が、受け方で伸びる・止まる
同じ質問を投げた1on1を、2通りで比べます。使ったのは、「最近、手応えを感じた場面はある?」という一問です。
Before:特にない、で終わる
上司「最近、手応えを感じた場面ってあった?」
部下「うーん、特にないですね」
上司「そっか。まあ、これからだね」
特にない、をそのまま受け取って、次に進んでしまいました。ここで会話は終わりです。
After:事実に戻して、受けながら掘る
上司「最近、手応えを感じた場面ってあった?」
部下「うーん、特にないですね」
上司「そっか。じゃあ逆に、今週で一番時間をかけてたのはどれ?」
部下「あー、Cさんからの問い合わせ対応が多かったです」
上司「問い合わせ対応、多かったんだね。(沈黙)…あれ、やってみてどんな感じだった?」
部下「正直、最初はしんどかったですけど、途中から、相手が納得してくれると案外やりがいあるなと」
上司「納得してくれるとやりがいある、っていいね。(間)その感じ、もっと増やせるとしたら、何かできそう?」
部下「対応の流れをテンプレにして後輩にも渡せたら、自分も楽になるし、役に立てるかもしれません」
上司は、新しい質問を次々ぶつけたわけではありません。特にない、を受け取ったあと、答えやすい事実の問いに一度戻し、返ってきた言葉をそのまま拾って掘っただけです。それだけで、特にない、から、やりがいを感じる場面と、自分なりのアイデアまで出てきました。質問の数ではなく、受け方で会話は伸びます。
まとめ|質問例は、選ぶより使い方で差がつく
1on1の質問は、たくさん覚えることよりも、選び方と使い方が大切です。
まずは厳選10問、慣れてきたら目的別で選ぶ
全部使おうとせず、その日の状況で数問に絞る
詰問・漠然・比較といったNG質問を避ける
相手のタイプで、入り方を出し分ける
同じ質問でも、事実から気持ち、どうしたいの順に、言い換えず受けると会話は続く
次の1on1では、質問を一つ選んだら、返ってきた答えを、言い換えずにそのまま返すところから試してみてください。それだけで、手応えが変わってくるはずです。
よくある質問
毎回、同じ質問になってしまいます。
目的別のリストで、今日はこの目的、と決めて回すと、マンネリを避けられます。前回決めた次にやること、を入口にするのも有効です。
質問しても、はい、いいえで終わってしまいます。
答えが一言で終わる問いは、事実確認には向きますが、話は広がりません。「どう進める?」「どう感じた?」と、相手が自分の言葉で答える問いに変え、まず答えやすい事実から入ってみてください。
質問は何問くらい用意すればいいですか。
たくさん用意しても、全部は使いません。その日の状況に合わせて、数問あれば十分です。それより、返ってきた答えを掘るほうに意識を向けてください。
自分だけのキャリアを、
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