
キャリア面談で、何を聞けばいいか迷う。聞いてはみたものの、当たり障りのない話で終わってしまう。そんなときのために、この記事では、社内のキャリア面談で使える質問例を、目的別にまとめました。まずは、どの面談でも使える厳選の10問から並べます。急いでいる方は、ここをそのまま使ってください。
まず使いたい|キャリア面談の厳選質問10
迷ったら、この10問から選べば大きく外しません。これまでの振り返り、やりがい、強み、これから、課題が、ひととおりカバーできるように選んでいます。
「これまでの仕事で、一番手応えを感じたのはどんな場面でしたか?」
「その仕事の、どんなところにやりがいを感じましたか?」
「自分では、どんなことが得意だと思いますか?」
「最近、成長を実感できたことはありますか?」
「働くうえで、大切にしたいと思っていることは何ですか?」
「いまの仕事の中で、もっとやってみたいことはありますか?」
「これから、どんな力を伸ばしていきたいですか?」
「いま、仕事で引っかかっていることや不安はありますか?」
「半年後、どんな状態になっていられたら理想ですか?」
「そのために、まず何から始めてみたいですか?」
もっと目的に合わせて選びたい方は、次の目的別リストからどうぞ。
目的別|キャリア面談の質問例リスト
ここからは、目的別に、それぞれの質問と、その質問で何が引き出せるか(ねらい)をあわせて挙げます。すべて使う必要はありません。今日はどこに光を当てるかを決めて、そこから数問を選んでください。
業務経験の振り返り
過去の経験を振り返ると、その人の強みや、仕事の進め方の傾向が見えてきます。
「これまでの仕事で、一番手応えを感じたのはどんな場面でしたか?」うまくいった経験には、その人の強みが表れます。
「その仕事は、どんなふうに進めていったのですか?」進め方を聞くと、工夫や得意なやり方が見えます。
「逆に、手こずったのは、どんなことでしたか?」つまずきの傾向と、伸ばしたい領域が分かります。
「これまでで、自分でもよくやれた、と思う仕事はありますか?」本人が誇りに感じている経験を引き出せます。
「まわりから感謝された、褒められた経験はありますか?」他者から見た強みに気づけます。
「その経験から、学んだことは何かありますか?」経験を次に生かす力が見えます。
仕事のやりがい・大切にしている価値観
どんなときにやりがいを感じるかを知ると、その人が力を発揮できる条件が見えてきます。ここで扱うのは、あくまで仕事の中で感じる価値観です。
「どんなときに、この仕事をしていてよかった、と感じますか?」やる気の源泉が分かります。
「時間を忘れて取り組めるのは、どんな作業ですか?」没頭できる、向いている領域のヒントになります。
「働くうえで、これだけは大切にしたい、ということはありますか?」仕事で大事にしている価値観が見えます。
「どんな環境やチームだと、力を発揮しやすいですか?」活躍しやすい条件が分かります。
「これまでで、この仕事をしていてよかった、と思えた瞬間はありますか?」内発的な動機に触れられます。
「逆に、気が乗らないのは、どんなときですか?」負担に感じる条件が分かり、配慮の手がかりになります。
強みと成長の実感
本人の自己認識を言葉にすると、自信になり、伸ばす方向も定まります。
「自分では、どんなことが得意だと思いますか?」本人が捉えている強みが分かります。
「最近、成長を実感できたことはありますか?」前向きな手応えを言語化できます。
「半年前の自分と比べて、できるようになったことは何ですか?」変化を本人に自覚してもらえます。
「同僚から頼られるのは、どんなことでですか?」他者視点の強みに気づけます。
「もっと伸ばせそうだ、と感じている力はありますか?」伸びしろへの意欲が見えます。
「その強みを、いまの仕事でもっと活かせる場面はありそうですか?」強みと業務を結びつけられます。
これから挑戦したいこと・伸ばしたい力
これからの方向を一緒に描くと、日々の仕事に目的が生まれます。話す範囲は、社内・いまの仕事での成長と挑戦にとどめます。
「いまの仕事の中で、もっとやってみたいことはありますか?」現職での意欲の在りかが分かります。
「これから、どんな力を伸ばしていきたいですか?」学びたい方向が見えます。
「挑戦してみたい役割や仕事は、ありますか?」次の成長機会のヒントになります。
「半年後、どんな状態になっていられたら理想ですか?」目標のイメージを引き出せます。
「そのために、いまから準備できそうなことはありますか?」目標を、いまの行動に近づけられます。
「会社や私に、手伝ってほしいことはありますか?」支援できる点が具体的に分かります。
いまの課題・不安
引っかかりを早めに拾うと、意欲の低下や離職を防ぐ手がかりになります。
「いま、仕事で引っかかっていることや、不安はありますか?」つまずきや懸念を把握できます。
「いまの働き方で、負担に感じていることはありますか?」働き方を見直す糸口が分かります。
「もっとこうだったらいいのに、と思うことはありますか?」改善の希望を引き出せます。
「相談したいけれど、言い出せずにいることはありますか?」隠れた課題に触れられます。
「いまの仕事に、物足りなさを感じることはありますか?」停滞感のサインを拾えます。
「ほかに、私に伝えておきたいことはありますか?」言い残しを防ぎ、本音の入口になります。
避けたい|キャリア面談のNG質問・NG態度
良い質問がある一方で、社員の口を閉ざしてしまう質問や態度もあります。無意識にやっていないか、確認してみてください。
NG質問です。
「なぜできなかったのですか?」 ]
詰問に聞こえ、守りに入らせます。「何がネックでしたか?」「どうすれば進みそうですか?」と、前を向く問いに変えます。
「◯◯さんと比べて、どうですか?」
他人との比較は、信頼を損ないます。その人自身の、前回と比べてどうか、で見ます。
「評価には響くけど、正直に言うと?」
ここで話すことは評価材料になる、と宣言してしまいます。評価とは切り離す、と伝えます。
「転職とか、考えてる?」
市場価値や社外への転職は、社内のキャリア面談で問い詰める話ではありません。話は、社内・いまの仕事での希望に絞ります。
NG態度も、質問の中身と同じくらい響きます。たとえば、パソコンや資料に目を落としたまま相づちを打つ、腕や足を組んで話を聞く、社員が話している途中で「それはね」と自分の経験談を始める。
こうした態度は、口でどんなに良いことを言っても、あなたの話に関心がない、という無言のメッセージとして伝わり、社員は話す気をなくします。
面談の間は、パソコンを閉じ、体を相手に向け、うなずきながら、まずは最後まで聴く。当たり前のようですが、ここが崩れると、どんな質問も効きません。
質問を活かす|答えの受け方と、次へのつなぎ方
ここが、質問リストを本当に使いこなせるかの分かれ目です。良い質問を選んでも、返ってきた答えに、そうなんですね、と相づちを打つだけでは、面談は深まりません。
差がつくのは、答えの受け方と、次の質問へのつなぎ方です。
事実から、やりがい・価値観、これからどうしたい、の順に掘る
一つ答えが返ってきたら、別の質問に飛ばず、その話題を掘ります。
たとえば、資料づくりをよく任されます、と返ってきたら、そこで、いいですね、と流さない。まず「どんな資料が多いですか?」と事実を確かめ、次に「それをやっていて、どんなときが面白いですか?」とやりがいに触れ、最後に「その力を、これからどこで活かしてみたいですか?」と未来へつなぎます。
同じ話題を、事実、やりがい、これから、の3段でたどるだけで、一つの答えがぐっと深まります。
いきなり「将来どうしたいですか?」と聞いても答えにくいのは、あいだの事実とやりがいを飛ばしているからです。
返ってきた言葉は、言い換えずに返す
「間違いを見つけるのが好きなんです」と言われたら、「間違いを見つけるのが好きなんですね」と、同じ言葉で返します。
ここで「几帳面なんですね」と、こちらの言葉に置き換えると、微妙にずれて、分かってもらえた、という感覚が薄れます。相手が使った言葉を、そのまま返すのがコツです。
抽象的な言葉は、一つ具体化する
「やりがいを感じます」「成長したいです」といった言葉は、そのままだと、ぼんやりしたままです。やりがい、という言葉が出たら「それは、たとえばどんな場面ですか?」と、一つだけ具体を尋ねます。
「成長したい」なら「どんな力を伸ばしたいですか?」と絞ります。抽象的なまま進めると話は広がりませんが、一点を具体にすると、本人の中でも考えがはっきりしてきます。
答えを待ち、すぐ助言や評価を挟まない
問いかけたあと、社員が黙っても、3秒ほど待ちます。沈黙は、話す気がないのではなく、考えている時間だからです。
ここで「それは違う」「こうしたほうがいい」と先に言ってしまうと、社員は考えるのをやめ、上司の答えを待つようになります。まずは、本人の言葉が出てくるのを待ちます。
聴き方や問いの立て方をさらに磨きたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:傾聴力の高め方とは?部下の本音を引き出す聴き方のコツと、聴けない癖の直し方

関連記事:コーチングのやり方とは?部下を動かす4つのスキルと進め方を会話例で解説
会話例|質問しただけの面談から、行動が変わる面談へ
同じ質問を投げた面談を、2通りで比べます。これから挑戦したいことを聞いたのに、特に思いつかない、と返ってきた場面です。
Before:答えを聞いて、そのまま終わる
上司「これから、挑戦したいことはある?」
社員「うーん、特に思いつかないですね。いまのままでいいかな、と」
上司「そっか。まあ、無理に決めなくてもいいけどね」
After:強みを入口にして、行動まで導く
上司「これから挑戦したいこと、いまはまだ浮かばない感じかな。(沈黙)…じゃあ、これまでの仕事で、まわりから頼られることって、どんなこと?」
社員「そうですね……よく、資料のチェックを頼まれます。細かいミスに気づくのは、得意かもしれません」
上司「細かいミスに気づけるのは、大きな強みだね。それって、やっていて嫌じゃない?」
社員「むしろ、間違いを見つけると、ちょっとうれしいというか。性に合ってる気がします」
上司「いいね。その強み、いまの仕事の中で、もっと活かせる場面ってありそう?」
社員「……そういえば、チームの提出物、いつも締切間際でミスが多いので、事前にチェックする流れを作ったら、役に立てるかもしれません」
上司「それ、すごくいいアイデアだね。じゃあ、次の面談までに、その流れをたたき台にしてみようか」
上司は、挑戦したいことを無理にひねり出させていません。まわりから頼られること、という別の角度から入り、本人が当たり前だと思っていた強みを言葉にしました。それが本人にとってうれしいこと、つまり価値観だと確かめたうえで、いまの仕事の中で活かせる一歩を、社員自身が見つけています。目標が思いつかない、から始まっても、強みを入口にすれば、行動まで導けます。
聞いて終わりにしない|引き出した後の導き
キャリア面談でいちばん差がつくのは、引き出した後です。良い質問で気づきを引き出せても、いい話だった、で終われば、行動は変わりません。
出てきた気づきや強みは、次の面談までの小さな一歩に落とします。壮大な計画ではなく、明日から試せることを一つ。そのとき、上司が目標を決めないことが大切です。
いくつかの選択肢を一緒に並べ、最後は本人に選んでもらいます。自分で選んだ一歩だからこそ、動けます。
そして、次はいつ、何を確認するかを約束して終えると、面談が単発で終わりません。
面談全体のフォローの設計は、以下の記事でくわしく扱っています。

関連記事:社内のキャリア面談の進め方|社員の意欲を引き出し、行動まで導くコツ
まとめ|質問は、数より、ねらいと使い方で差がつく
キャリア面談の質問は、たくさん覚えることよりも、何を引き出すかというねらいと、その使い方が大切です。
まずは厳選10問、慣れてきたら目的別で選ぶ
各質問の、何を引き出すか(ねらい)を意識する
詰問・比較・評価をちらつかせる、といったNG質問と、ながら聞きの態度を避ける
同じ質問でも、事実からやりがい・価値観、どうしたいの順に、言い換えず受けると深まる
引き出したら、聞いて終わりにせず、次の一歩まで導く
次の面談では、質問を一つ選んだら、返ってきた答えを、言い換えずにそのまま返すところから試してみてください。
よくある質問
質問は、何問くらい用意すればいいですか。
たくさん用意しても、全部は使いません。その日の状況に合わせて、数問あれば十分です。それより、返ってきた答えを掘るほうに意識を向けてください。
質問しても、はい、いいえで終わってしまいます。
一言で終わる問いは、事実確認には向きますが、話は広がりません。どう感じたか、どうしたいか、と、相手が自分の言葉で答える問いに変え、まず答えやすい事実から入ってみてください。
部下が、これからのキャリアを考えていません。
遠い将来をいきなり聞くと固まりがちです。これまでのやりがいや強みなど、過去と現在から小さく入ると、考えの糸口が見つかります。
日常の1on1で使う質問を知りたいです。
短い業務ベースの1on1の質問は、以下の記事をご覧ください。

