現代のビジネス環境では、マネージャーの役割が大きく変化してきました。チームメンバーの一人として、自らも数字や目標を持ちながら、部下のマネジメントも行う「プレイングマネージャー」が増えており、プレイヤーとマネジメントの両立が求められるようになりました。
さらに、以前よりも一人当たりのマネージャーが持つ部下の数も増え、ハラスメントにも気を付けながら関わる必要があり、部下との接し方も難しくなったことで、管理職が「罰ゲーム」と呼ばれる風潮さえもあります。
そうした時代の中で、コーチングスキルは対話を通じて相手の目標達成や自己成長をサポートしたり、良好な関係性を築くためのコミュニケーション手法の1つであるため、コーチングをマネジメントで活かすために学ぶ人も増えてきました。そこで今回は、コーチングのマネジメント場面への活かし方についてご紹介します。
コーチングをマネジメントで活かすメリット
コーチングをマネジメントに取り入れることで、実際の現場でも様々なメリットを実感できるでしょう。ここではまず、コーチングをマネジメントで活かすことの具体的なメリットを4つ紹介します。
1.部下の主体性の向上
マネージャーの役割は単に指示を出すだけではなく、部下が自ら考え、行動できるように支援することが重要になります。特に、指示待ちの傾向が強い職場では、部下が自律的に行動できる環境を整えることが求められ、部下の自主性が育たないことで、仕事を任せることができず、プレイングマネージャーを辞められない原因の1つとなってしまいます。
コーチングの関わり方を活かし、「○○さんだったら、どんな風に対応する?」「ここからどうやって進めていこうか?」と問いかけることで、 部下が自分自身で考えるようになり、言われたからやるのではなく、自分自身で問題解決に取り組む機会を増やすことができるでしょう。 自分自身で仕事の進め方を考えることが主体性の向上につながり、マネージャーの負担も軽減されるとともに、組織全体の生産性向上にもつながります。
2.チームのエンゲージメント向上
近年では従業員のエンゲージメント向上が企業の成長において重要な指標とされています。エンゲージメントが高い組織では、個々のメンバーが意欲的に業務に取り組み、成果を最大化できる傾向にあるためです。
コーチングを導入することで、部下の一人ひとりの価値観や目標を把握し、それに基づいた適切なサポートを提供できます。 例えば、「○○さんはどのようなキャリアを考えている?」「やってみたいことがあるとしたら何があるかな?」といった問いを通じて、個人の成長と組織の目標を結びつけることで、仕事への意欲を高め、組織全体の活力向上につなげることが可能です。
3.コミュニケーションの質の改善
職場におけるコミュニケーションの質は、チームのパフォーマンスや心理的安全性に大きな影響を与えます。
関係性が築けていない中で厳しい指摘やフィードバックを行うと、たとえフィードバックの内容が同じでも、フィードバックする人によって印象が異なり、場合によっては「ハラスメント」と捉えられることもあるため、日頃から信頼関係を築くことの重要性が近年では特に増しています。 コーチングを活用し、業務の相談や面談以外の場面で部下との対話を増やすことで、関係性の質を向上させることができます。
例えば、日常的に「業務の進め方で困っていることはある?」「仕事していてもやもやすることはない?」と声をかけるだけでも、部下は「話を聞いてくれる上司だ」「自分に寄り添おうとしてくれている」と感じ、信頼関係が深まりやすくなります。
結果として、厳しい指摘であっても、前向きに受け止められやすくなり、コミュニケーションも円滑になるでしょう。
4.マネージャー自身の成長
コーチングは、部下の成長を促すだけでなく、マネージャー自身のスキル向上にもつながります。部下の話を傾聴し、適切な質問を投げかけるプロセスを繰り返すことで、問題解決能力やリーダーシップが自然と磨かれ、部下の自主性が向上することで、仕組みづくりや戦略的な事柄に割り当てられる時間が増えていくでしょう。
コーチングをマネジメントに取り入れることは、マネージャー自身の成長や、部下との関わり方の変化、組織全体の発展の両方に貢献する有効な手法といえるでしょう。
現場におけるコーチングの活かし方
メリットについてわかったものの、「具体的にどのようにすれば、実際の現場での活用できるかわからない...」という方も多いでしょう。ここでは、具体的な活用事例について紹介します。
1. フィードバックの伝え方を変える
マネジメントにおけるコーチングの活かし方の1つ目は、フィードバックの伝え方です。 マネージャーであれば、部下のパフォーマンスに対しフィードバックを行うことはよくありますが、実は伝え方次第で、部下のミスの回数まで影響を及ぼします。
例えば、職場で部下が何度もミスをする場合、「何がいけなかったと思う?」や「このミスをどうしたら次に活かせると思う?」というように、多くの人が失敗から反省につなげさせるようなコミュニケーションを取ってしまいがちですが、2019年のシカゴ大学が行った研究( R )によれば、 失敗に焦点を当てると、ネガティブな気持ちが高まり、モチベーションや自信が低下することで、失敗から学ぼうとしなくなることがわかっています。
逆に自分のミスではなく、成功した時にフィードバックをもらうことや、 他者のミスや失敗の事例を学習させたところ、失敗の回数が減り、失敗から学ぶことができるようになりました。 このように、フィードバックの伝え方次第で、部下の行動やミスの回数まで変わってしまうほど、伝え方には大きな影響力があるのです。
2. 感情が穏やかになり、関係の質が変わる
コーチングを学ぶ中で、自分自身の感情や思考にも目を向ける機会が増えていき、自分の感情を客観的に捉えたり、冷静に対処できるようになります。それによって感情的な衝突が減ったり、相手を傷つけてしまうようなコミュニケーションを減らすことができるようになります。
このように、自分や周囲の感情を理解・調整できる感情調整能力のことを EQ(Emotional intelligence Quotient)といいますが、2024年にラフバラー大学が行った調査( R )では、スポーツ選手と、コーチングスキルを持つコーチの感情知能(EQ)が、プレーの結果や両者の関係の質に与える影響について調べたところ、EQが高いコーチと選手は、信頼・尊敬・協力的な関係を築く傾向が高いことがわかりました。
このような発見はスポーツの領域だけでなく、実際の上司-部下の関係にも同じことが言えるでしょう。部下の意見や感情に真剣に耳を傾けたり、伝えたいことを適切に伝えられるようになることで、信頼関係が構築されていきます。
3. 質問によって部下の行動が変わる
コーチングの核心は、効果的な質問を通じて相手の思考や行動を促進することです。「どうしてそのように考えたの?」「目的を達成するためにどんな選択肢がありそう?」といったオープンな質問を活用することで、部下は自分の考えを深めることができます。
しかしながら、知識をインプットしただけでは実践することは難しく、質問力を身につけるためには実際に試行錯誤を重ねる経験が欠かせません。しかし、自己流の取り組みだけでは本質的なスキルを身につけるまでに時間がかかってしまうかもしれません。 そこでおすすめしたいのが、「人生全体を見据えたキャリアコーチング」を包括的に学べるポジウィルコーチングスクールです。
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